金(ゴールド)――それは、見た目の美しさだけではなく、人類の歴史・科学・経済の中心にあった特別な金属です。
「なぜ金はこれほど価値があるのか?」
「投資としての金はどうなの?」
「昔からどうやって使われてきたの?」
この記事では、金の価値を科学・投資・歴史の3つの視点から解説します。
知っているようで知らない金の魅力に、材料技術の視点から迫っていきます!
1. 科学的に見た金の価値
金は元素記号Au、原子番号79の貴金属で、非常に特異な物性を持っています。
酸化しにくく、美しさが長持ちする
金は空気や水と極めて反応しづらいため、腐食や変色がほぼ起こらない。
古代の金製品が何千年経っても輝きを保っているのはこのためです。
加工しやすいが、壊れにくい
金は展性・延性が非常に高く、1gの金で数千mの線を引けます。それでいて安定した硬度もあるため、装飾品や電子部品に最適。
電子機器に欠かせない材料
金は電気伝導率が非常に高く、スマートフォンやパソコン内部の接点などに使われています。
まさに“実用と美”を兼ね備えた金属なのです。
2. 投資の対象としての金
金は「資産を守る」役割が強い、守りの資産です。
長期的に価値が上がってきた
1970年代以降の金価格の推移:
- 1980年:約800ドル/トロイオンス
- 2000年:約280ドル(底値)
- 2011年:約1,900ドル(リーマンショック後)
- 2024年:2,200〜2,300ドル台で推移中
つまり、長期的に価値が下がりにくく、インフレにも強いのです。
他の資産と逆に動く「非相関資産」
株や債券が下がるときに、金は上がることが多いため、資産の分散先として選ばれます。
例:2020年のコロナショックでは株価暴落→金価格急騰
初心者にも始めやすい投資方法が豊富
- 純金積立(月1,000円〜)
- 金ETFや投資信託(証券口座でOK)
- 金地金・金貨の購入(実物資産)
3. 歴史に見る金の役割
金の歴史は、人類の文明史とほぼ同じくらい古いです。
古代エジプトでは「神の金属」
紀元前3,000年のファラオの墓からも大量の金製品が発見。
神殿やマスク、装飾に使われ、「不変の価値」を象徴していました。
金が文明を動かした
- スペインが中南米を征服したのも、インカ・アステカの金目当て
- 1848年のカリフォルニア・ゴールドラッシュは、アメリカの産業を一変させた
「お金の裏付け」として機能した金本位制
19〜20世紀、紙幣の価値は金とリンクしており、世界経済の基盤でした。
1971年のニクソン・ショックで終了するまで、各国は金を準備資産として保持。
まとめ:金は科学的にも、経済的にも、文化的にも特別な存在
金は「資産としての価値」だけでなく、科学的安定性・歴史的象徴性という点でも、非常にユニークな金属です。
今後も価値がゼロになる可能性が極めて低く、資産の一部として、また知的関心として持つに値する素材と言えるでしょう。
次回予告
次の記事では、「金の産出国や精錬の仕組み」「どこから来て、どこへ行くのか」といったサプライチェーンにも迫っていきます。
お楽しみに!
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