2025年12月16日、田中貴金属の純金積立サービスで手数料や引き出しルールが変わります。
この記事では、何が変わるのか、利用者にとってどこが不利になるのか、そして損をしないために今できることをわかりやすく整理しました。

安心して積立を続けるための参考になればと思います。
本記事では以下を解説します。
- 新ルールの概要を整理
- 利用者にとって不利になるポイント
- 損をしないための手段
その他、金ETFと純金積立の比較、金ETFの仕組みについての記事も興味があれば参照ください。
田中貴金属の純金積立ルール変更とは?概要を整理
2025年12月16日から変更されるポイント
2025年12月16日より、田中貴金属工業の純金積立サービスにおいて、以下の重要なルール変更が行われます。以下の3つが主な変更点です。
- 地金引き出し方法での「重量指定」の廃止
- 積立手数料率アップ
- 解約時清算方法の変更
※特約店店頭利用カードも廃止されますが詳しくはHPを参照ください。
重量指定の廃止|地金引出しの手数料が大幅にアップ
従来は重量を指定し、大きい順のバーで受け取る方式が選べましたが、この方法が廃止されます。今後は必ずバーの種類を指定する「バー指定」となり、500g未満の地金引出しの際にはバー指定手数料(4,400〜16,500円/本)が必ず発生します。
以下は、現行での地金引出しする際のスクリーンショットです。重量指定の場合は「バー指定手数料」がかかりません。

2025年12月16日以降、地金の引き出しは下記のバー指定手数料が必要になります。


バー指定手数料は思った以上に高額です。ただ、500g未満の小型バーは加工費用がかかっているはずですので、これまでが安かったのかなと言う気もします。
積立手数料率もアップ|影響は限定的
2026年1月分からは手数料率も引き上げられます。
- 月3,000〜29,000円:2.5% → 2.8%
- 月30,000〜49,000円:2.0% → 2.2%
- 月50,000円以上:1.5% → 1.6%
「少しの差」と思えるかもしれませんが、長期で積み立てるほど影響は大きくなります。

昨今の物価高騰による影響と思われます。保管のためにかかる管理費などのコストアップを考えると影響はあるものの仕方のないところかと思っています。
その他、詳細は公式HPを参照ください。
解約時の清算は「現金のみ」に限定|回避可能
これまでは解約時に「現金」か「現物(金地金)」を選べましたが、今後は現金一択になります。
ただし、解約前に地金引出しを済ませておけばいいので、こちらは回避可能です。田中貴金属工業からも詳しく下記の図解説明がされています。


ただし、地金引出しはバー指定手数料がかかるようになるので注意が必要です!
今回のルール変更で影響のある利用者とは
今回のルール変更で影響があるのは以下のような方々です。
- 地金を引き出す人
- 積立を長期継続する人
- 解約・清算を考えている人
- 出口戦略をまだ考えていない人
それぞれについて、影響を見ていきましょう。
地金を引出す人|指定するバーの本数分だけ手数料がアップ
これまでの「重量指定での引き出し」が廃止され、小型バーを複数組み合わせての引き出しになります。そのため、同じ重量を受け取る場合でも本数が増える分、バー指定手数料が大きくなります。500g未満の小型バーを引き出す予定の人は、今後は想定以上のコストがかかる点に注意が必要です。
引き出し重量 | 必要なバーの組み合わせ | 本数 | バー指定手数料 | 送料 | 合計コスト |
---|---|---|---|---|---|
50g | 50g×1本 | 1本 | ¥8,800 | ¥2,200 | ¥11,000 |
150g | 100g+50g | 2本 | ¥25,300 | ¥2,200 | ¥27,500 |
400g | 300g+100g | 2本 | ¥33,000 | ¥2,200 | ¥35,200 |
500g | 500g×1本 | 1本 | ¥0 | ¥2,200 | ¥2,200 |

このように、新ルールでは引き出しのバー本数が増えるほど手数料もアップします。
積立を長期継続する人|積立額に応じて手数料アップ
2026年1月(2025年12月5日引落とし)から積立手数料率も改定されます。毎月の積立額ごとにどの程度コストアップするのかまとめてみました。
月額積立 | 旧手数料 | 新手数料 | 月額アップ | 旧年額 | 新年額 | 年額アップ |
---|---|---|---|---|---|---|
¥3,000 | ¥75 | ¥84 | ¥9 | ¥900 | ¥1,008 | ¥108 |
¥30,000 | ¥600 | ¥660 | ¥60 | ¥7,200 | ¥7,920 | ¥720 |
¥50,000 | ¥750 | ¥800 | ¥50 | ¥9,000 | ¥9,600 | ¥600 |

全く小さいわけではないですが影響は軽微かと考えています。ただし、投資信託の信託手数料だと考えると安いと言うわけではないので、気になる方はチェックしてください。
解約・清算を考えている人|地金を引出さない場合は影響なし
一括で現金化する場合、今回のルール変更による影響はほぼありません。なぜなら「解約時は現金での受け取り限定」となるからです。ただし「せっかくだから現物(金地金)で残したい」と考えていた人は、この選択肢が閉ざされる点に注意が必要です。
出口戦略をまだ考えていない人|将来の地金引出しに備えて手数料を把握
「いつか金が必要になったら現物にしよう」「とりあえず積み立てておけば安心」と考えている人も、実は今回の改定の影響を受けます。出口を決めずに積み立て続けていると、いざ引き出すときにコスト増で損をする可能性があるからです。今のうちに「現金化で使うのか」「現物で残すのか」を考えておくことが大切です。

未来のことなので考えるのは難しいですが、ルールを把握して納得しておくことが大事ではないでしょうか。もし、金現物を一度は持っておきたいという希望があるようでしたら2025年12月15日までに手続きを済ませるようにしましょう。私も手続きをしたいと考えています。
変更前にやっておくべきこと
2025年12月15日までに重量指定で地金を引き出す
今回の改定で最も大きな変更点のひとつが、地金の引き出しルールです。従来は「重量単位」で指定できたため、たとえば100gをまとめて引き出すことが可能でした。しかし2025年12月16日以降は「バー指定」に変わるため、同じ100gを受け取るにも、100gバー1本と5gバー20本では手数料が大きく変わるケースが出てきます。そのため、地金を引出したいと考えている方は、必ず2025年12月15日までに手続きを済ませるのが賢明です。
積立の継続可否を検討
積立手数料率が+0.1% ~ +0.3%アップします。
- 月3,000円の積立なら年間72円の負担増
- 月30,000円なら年間720円
- 月50,000円なら年間600円
これまでの金価格上昇をみると小さなコストアップにも感じるかもしれませんが、投資信託の信託手数料と考えると大きなコストアップですので、積立を続けるか改めて考えるタイミングかもしれません。もし他社のサービスや別の投資方法に魅力を感じるなら、積立停止や解約の検討を前倒しするのも選択肢です。
出口戦略を考えておく
純金積立を最終的にどう使うのか――売却して利益を得るのか、地金を引き出して資産にするのか、あるいは贈与や相続のために残すのか。今回の改定は、出口でのコストや利便性に直結します。
今のうちに、
- どのタイミングで
- どの方法で
- どれくらいの量を
手にするのかを決めておくことが、将来の余計なコストや後悔を防ぐカギとなります。
参考にした情報と筆者のプロフィール
本記事の内容は、田中貴金属工業が公表している最新のルール改定に関する発表をもとにまとめています。また、2025年12月16日以降に発生する手数料をシミュレーションしています。

筆者自身も純金積立を10年以上続けており、資産形成の一環として日常的に活用してきました。専門的な背景としては、材料系の博士号を取得しており、さらにFP3級・簿記3級の資格を持っています。こうした立場から、読者の皆さんにできるだけ中立的で実用的な情報をお伝えすることを心がけています。
その他、金ETFと純金積立の比較、金ETFの仕組みについての記事も興味があれば参照ください。
まとめ:ルール変更を理解して安心して積立を続けよう
今回の変更内容の再整理
田中貴金属の純金積立では、
- 積立手数料率の +0.1% ~ +0.3% の引き上げ
- 引き出し方法の 重量指定の廃止
という2つの大きな改定が行われます。これらは少額での積立を続ける人にとっても、将来の引き出しを考える人にとっても、確実に影響する内容です。
損失を防ぐための行動を今から準備
変更点を正しく理解したうえで、
- 12月15日までに重量指定で引き出すかどうか
- 積立を継続するかどうか
- 出口戦略をどのように描き直すか
を考えておくことが重要です。
「気づいたら手数料を余計に払っていた」という事態を避けるためにも、行動するなら今のタイミングしかありません。
行動するかどうかで将来の差は数万円単位に
引出せる地金の重量が500g未満で、地金引き出しを考えている方はルール変更前の引き出しをするか否かで数万円の差になります。
今回の改定をきっかけに、
- 金投資の目的
- 利用しているサービスのコスト
- 出口戦略の具体化
を整理しておけば、今後も安心して純金積立を続けられるでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。もし、詳細聞きたいことなどあれば問い合わせしていただければ幸いです。制度を理解して納得して純金積立をしていきましょう!
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