金の純度を比重で見分ける方法|でもタングステンには要注意!

金の科学

オーラムさん
オーラムさん

私、おばあちゃんからもらった金の指輪を持ってるの。この金の純度って調べられるのかしら?

ゴルド博士
ゴルド博士

もちろんさ。金だってわかってるなら「比重法」を試してみるのはどうかな。原始的だけど簡単に測れる方法だよ。興味あるかい?

オーラムさん
オーラムさん

面白そうね。その話詳しく聞かせて!


金の純度って何?ざっくりおさらい

金製品によく見かける「K18」や「K24」といった表記。これは、金の純度(含まれる金の割合)を表しています。

  • 24K(24金):純度99.9%以上。いわゆる「純金」
  • 18K(18金):金が75%、残りは銀や銅などの金属
  • 14K(14金):金が58.5%、あとは他の金属

「K」はカラット(Karat)の略で、24分率で純度を表します。
つまり 24K = 24/24 = 100%、18K = 18/24 = 75% という計算です。

詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ:
金の純度とは?24K・18K・14Kの違いをわかりやすく解説

ジュエリーにはたいてい刻印がありますが、消えていたり、偽物の可能性があったりして、目視だけでは判断できないこともあります。
そこで使えるのが「比重法」です。


家庭でできる!比重法とは?

比重法とは、金属の密度(=重さ÷体積)を測って、純度を推定する方法です。
理科の授業でも出てきた「アルキメデスの原理」を応用することで、家庭でも比較的手軽に試せます。

アルキメデスの原理とは、「物体が液体に沈められたとき、その物体は押しのけた液体の重さと同じ大きさの浮力を受ける」という法則です。言い換えれば、プールで浮かぶ仕組みと同じですね。

比重の測り方

比重法では、アルキメデスの原理を使って密度を次のように求めます:

\[ \rho = \frac{W_{\text{air}}}{W_{\text{air}} – W_{\text{water}}} \]

ここで、

$W_{\text{air}}$ :空気中での重さ
$W_{\text{water}}$ :水中での重さ

金の密度は 19.32g/cm³。これに近い値が出れば、純度の高い金と推定できます。


比重と純度の目安一覧

金の種類金の含有率比重(目安)備考
24K99.9%約19.3純金、柔らかい
22K91.6%約17.5~18.5中東などで流通多め
18K75%約15.6~16.5日本で主流
14K58.5%約13.0~14.5アメリカで多い
10K41.7%約11.5~13.0安価な製品に多い


測定した比重がたとえば16.0なら18Kの可能性が高く、13.5なら14Kかもしれません。
あくまで目安ですが、「金らしさ」を確認するには十分役立ちます。


でも、タングステンには注意!

実は、金とほぼ同じ密度(19.25g/cm³)を持つ金属があります。
それが「タングステン」です。

この性質を悪用して、金インゴットの中身だけタングステンにして外側を金で覆う、といった偽装品が実際に流通したこともあります。

比重法はあくまで密度を測るだけなので、こういった偽装までは見抜けません。

タングステン偽装を見抜くには、X線透過検査や蛍光X線分析(XRF)など、より専門的な測定が必要です。


比重法はそれでも役に立つ!日常用途なら十分

家庭で使う小さなジュエリーや古いアクセサリーの判別なら、比重法でもかなりの精度で「それっぽさ」をチェックできます。

  • 刻印がないけど本物か知りたい
  • フリマアプリで買ったけど不安
  • 科学好きな子どもと実験してみたい

そんな時には、比重法は十分に活躍してくれます。


まとめ

比重法は、金の純度を手軽に調べる方法としてとても便利です。
ただし限界もあるため、偽装リスクの高いものや高額なものを扱う場合は、専門機関の検査や信頼できる販売店での購入が安心です。

まずは身近な金製品から試してみてはいかがでしょうか?
科学の視点から“本物の金”を見極めるのは、なかなかに面白い体験です。

ゴルド博士
ゴルド博士

ゴルド博士|化学系の博士号を持つ材料技術者。
先端材料研究に携わる中で「ものの価値」を考えるうち、気づけば金に魅せられて11年。金にまつわる科学・歴史・経済を横断して発信中。

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