ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発行している「Gold Demand Trends Q1 2025」というレポートが届きましたので、読んで考えたことをまとめます。
最近、金の話題をニュースやYouTubeでもよく見かけるようになりました。
このレポートには、実際に「どんな目的で金が使われているか」がまとめられていて、金需要の動きを読み解くヒントが詰まっています。
このレポートは3ヶ月に1度発行されていて、今回は2025年第1四半期の金需要に関するものです。
金の需要は前年比+1%。でも中身に注目
全体の金需要は1,206トンで、前年の同じ時期と比べて+1%とのこと。
ただし、内訳を見るとけっこう面白い動きがありました。
WGCでは、需要を次の4つに分類しています:
- 宝飾品としての需要
- 投資に関わる需要
- 中央銀行からの需要
- 産業用途での需要
供給側は以下の2つが主な項目です:
- 鉱山からの生産
- リサイクル(都市鉱山)
各項目の前年比(重量ベース)
- 需要
- (1) 宝飾用 +21%
- (2) 投資用 +170%
- (3) 中央銀行 -21%
- (4) 金属としての利用 ±0%
- 供給
- (1) 鉱山生産 +1%
- (2) リサイクル -1%
ここで気になったのは重量ベースだということです。ドルに換算してみるとどうなるでしょうか。
価格は約38%上昇。金額ベースではどうなる?
価格で見ると、
2024年Q1は約2,070ドル/オンス
2025年Q1は約2,860ドル/オンス。
約38%の上昇です。たとえば中央銀行の金買い付け量が21%減ったとしても、
金額ベースで見ると:
2860[ドル/オンス] × 0.79 ÷ 2070[ドル/オンス] ≒ 1.115 → 約11.5%の増加
つまり、「量は減っても、お金はむしろ多く使っている」可能性があります。
中央銀行の動きが目立つポーランドと中国
特に注目されたのはポーランドで、Q1だけで49トンを購入。
前年が約90トンだったので、たった3ヶ月でほぼ半分以上を買ってしまったことになります。
中国も17ヶ月連続で金を買い増しているそうです。
単なる一時的な動きではなく、方針としての動きが定着している印象を受けます。
高価格でも売られない。リサイクルが減っている
もうひとつ気になったのは、金価格がこれだけ上がっているにもかかわらず、
リサイクル(既存の金を売却する動き)が減っていることです。
普通なら「今が売り時」と考える人が増えてもおかしくないですが、
今回はむしろ売られていません。
「まだ上がるかも」と思っているのか、
「別に今売る理由がない」と思っているのか。
いずれにしても、金が「売られにくい資産」になってきている印象です。
まとめ
トン数の数字だけを見ていると、減っているように思えますが、
金額ベースで見ると「実は多くのお金が動いている」ということがわかります。
売られず、買われ続けている、というのが現在の金の動向かと思います。
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