材料技術で読み解くゴールドの科学的価値

ゴルド博士、金ってどうしてあんなにピカピカしたまま錆びないの?他の金属はすぐ変色しちゃうのに、不思議だよね。

いいところに気づいたね、オーラムさん。実は金には、ほかの金属にはない“化学的な特別な力”があるんだ。今日はその秘密を、科学の目でじっくり見ていこうじゃないか。
はじめに|なぜ金だけは変わらず輝くのか?
金(ゴールド)は、何百年経っても輝きを失いません。
古代の遺跡から見つかる金製品が、今でも美しく輝いているのを見ると、「なぜ錆びないのか?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
本記事では、金が錆びない理由を、やさしい科学の視点からわかりやすく解説します。
さらに、金が持つ「変形しやすさ」「電気の流れやすさ」など、日常生活や最先端技術で役立っている性質についても触れていきます。
金が錆びないのは「化学的に動きたがらない」から
私たちが普段「金属が錆びる」と言うとき、それは空気中の酸素や水と反応して酸化されてしまう現象です。
鉄が赤く錆びるのが代表例ですね。
でも金は、そうした酸素や水とほとんど反応しません。つまり、そもそも錆びにくい性格を持った金属なのです。
理由は簡単に言うと、金は「もっとも変化しにくい物質」だから。
他の金属は、酸素とくっついて化合物(サビ)になろうとしますが、金はそういう反応をほとんど起こしません。
そのため、空気中でも、水の中でも、金はそのままの姿で安定して存在できるのです。
金は酸にもアルカリにも強い。でも「王水」だけは例外
金は、塩酸や硝酸といった強い酸にすら溶けません。
唯一溶けてしまうのが、「王水(おうすい)」という特別な混合液。
これは塩酸と硝酸を3:1で混ぜたもので、名前の由来は「王(キング)である金をも溶かす水」から来ています。
それだけ、普通の方法では金を溶かしてしまうことができないということですね。
金の「錆びにくさ」は原子レベルでも特別
金が錆びないのは、実は原子の構造に秘密があります。
金の最も外側にある電子は、非常にしっかりと原子の中心に引きつけられていて、外に飛び出しにくい=化学反応しにくい状態にあります。
さらに金は、原子番号が大きくて、電子が光のスピードに近い速さで動いているため、ちょっと特殊な「相対論効果」という物理現象の影響も受けているのです。
難しい言葉ですが、要は自然の中でも「変化しにくいようにできている」金属なんですね。
よく伸びる・よく広がる|金は加工しやすさもトップクラス
金は、叩いて広げても、引っ張って細くしても、なかなか壊れません。
- 金箔は、1万分の1ミリ以下という超極薄にまで加工できます。
- 金線は、1gで数キロにもなるほど細く引き伸ばせます。
この理由は、金の結晶構造にあります。
金の原子は、ずれやすく・動きやすく・滑りやすい配列になっていて、柔らかく変形しやすいのです。
だから、非常に薄く・細くしても壊れにくい=加工しやすいというわけです。
導電性も優秀。なぜ金は電子部品で使われるの?
電気を通す金属といえば、銀・銅・金がよく知られています。
実は電気の流しやすさ自体では、銀が1位、次が銅、金は3番目です。
でも、実際に電子機器でよく使われているのは金。なぜでしょう?
それは、金は錆びないからです。
銀や銅は時間が経つと表面が酸化して電気を通しにくくなります。
金はそれがないので、長期間ずっと安定して電気を流し続けられるんですね。
そのため、スマホのSIMカード、パソコンの端子、宇宙機器など、「絶対に接触不良を起こしたくない」場所には金が選ばれています。
金はなぜ「金色」なのか?
最後に、金のあの独特な「黄金色」の理由についても少しだけ。
金は他の金属と違い、青い光を少しだけ吸収します。
そのため、私たちの目には「黄色っぽい光」が反射して見えるのです。
これもまた、金の原子の中で起こっている電子の動きと、相対論効果が関係しています。
科学的にも、見た目からして特別な金属なんですね。
まとめ|錆びない、壊れない、変わらない。それが金のすごさ
金は単なる装飾品ではありません。
「錆びない」「反応しにくい」「変形しやすい」「電気が通りやすい」「見た目が美しい」など、あらゆる面で高性能な金属です。
だからこそ、古代から人々に愛され、今も宇宙探査機やスマートフォンの中で活躍しているんですね。
もしあなたが身につけている金の指輪やアクセサリーがあったら、
「これ、数億年のあいだ地中で変わらなかった金属なんだな」
そう思って眺めてみると、ちょっとだけ科学が面白くなるかもしれません。

なるほど、金が錆びないのは科学的にもちゃんと理由があったんだね!ただの偶然じゃないんだ。

その通りだよ。だからこそ金は、古代から現代に至るまで、時を超えて輝き続ける特別な存在なんだ。
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